2015年度宇宙電波懇談会シンポジウム |
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日時 :2016年3月9日(水) 10時00分から10日(木) 17時15分 |
場所 :国立天文台三鷹大セミナー室 |
テーマ:「電波天文学の現状と将来展開」 |
世話人:大西利和(宇電懇運営委員長),犬塚修一郎,河野孝太郎,立松健一,藤沢健太,百瀬宗武 |
狙い: 宇電懇では2012・2013年度に将来の中規模・大規模計画について集中的に議論してきた。一方、昨年度はそれとは少し趣を変え,それまでに宇電懇で議論されていた将来計画との関連も含め,2020-30年代の電波天文学に期待される課題をサイエンス面から展望した。TMTやSPICAはもちろんのこと,SKAにおける高エネルギー観測天文学との連携や,LiteBIRDにおける素粒子物理学分野との連携、さらに,高時間分解能で探る「タイムドメイン天文学」の重要性等が指摘され、これらの科学面からの要請を,我々宇電懇という「電波天文コミュニティ」がどう咀嚼して明るい未来へとつなげていくかという点も,新たな課題として浮かび上がってきた。現在稼働中、もしくは計画が進行中の多波長の観測装置でのサイエンスをしっかりと把握しつつ、将来計画を継続して議論することの重要性を再確認した。さらに、ALMAをはじめとする電波観測装置での成果を十分に上げ、その先の新しい天文学を見据えないと、迫力のある電波の将来計画を提案することは難しい、との認識もいっそう強まった。 そこで、本シンポジウムでは、ALMAでの観測も本格的になりつつある今、電波天文学の現状の把握や現有装置で可能なサイエンスをしっかりと議論し、それをもとに将来計画の可能性について検討することを目的とする。日本のグループや日本の観測装置を使用して精力的に研究を推進している研究者を招待し、その科学的意義・成果や世界に おける位置づけ、今後の展開について語っていただく。特に、現在の観測装置をいかに使い倒すのか、その上で、さらなる天文学の展開の ためにはどのような観測装置が現在欠けているのか、という観点について重点を置き、サイエンスを中心として、観測装置(電波以外も含 む)に関して横断的な議論を行いたい。若手研究者、大学院生の参加、さらに理論研究者や他の波長の研究者の参加が、コミュニティの 拡大・活性化に必要不可欠であり、これらの幅広い参加者に興味を持ってもらえるような発表・議論を目指す。天文台の電波分野の今後の方向性に関しても、コミュニティといかに連携を図っていくか、という観点からの議論が重要である。 |
プログラム:
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1日目(3月9日)
座長:大西
・はじめに:
10:00
- 10:15
「本シンポジウムについて」
「電波天文の大型将来計画と日本学術会議マスタープラン」
・ALMA
10:15 - 10:45 井口聖
Status, Science Highlights, Future Development
座長:河野
・宇宙論と銀河形成
-
田村陽一
10:45
- 11:10
「電波天文学の将来展開:高赤方偏移研究の観点から」
-
田島治
11:10
- 11:35
「CMB
polarization - recent & future」
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昼食休憩、ポスターセッション
11:35
- 12:40
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座長:河野
・銀河とその活動性
-
伊王野大介
12:40
- 13:05
「Extreme
Starbursts Across the Universe」
・銀河団
-
北山哲
13:05
- 13:30
「『ひとみ』が探る宇宙の構造形成」
-
赤堀卓也
13:30
- 13:55
「センチ波偏波観測と数値実験から探る宇宙のプラズマ」
座長:立松
・VLBIとALMAのシナジー
-
廣田朋也
13:55
- 14:20
「VLBIとALMAのシナジー」
・惑星
-
前澤裕之
14:20
- 14:45
「(太陽系)惑星観測の現状と今後」
-
下条圭美
14:45
- 15:00
「ALMAによる太陽観測-Cycle4とその後に向けて-」
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休憩、ポスター
15:00
- 15:20
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座長:藤沢
・銀河中心核やブラックホール,高密度天体
-
秦和弘
15:20
- 15:45
「VLBIによるAGNジェット根元観測の最近の進展について」
-
坪井
昌人 15:45
- 16:00
「潮汐破壊されながら銀河系中心に落下する分子雲の発見」
・星・惑星系形成と系外惑星探査
-
坂井南美
16:00
- 16:25
「星・惑星形成領域の化学:現状と将来」
座長:犬塚
・星間物質の進化
-
福井康雄
16:25
- 16:50
「中性星間物質の深い理解に向けて:観測と理論をつなぎ、広い密度範囲を視野に入れる」
-
井上剛志
16:50
- 17:15
「RX
J1713.7-3946 物語」
-
Hsi-AnPan(潘璽安)
17:15 - 17:30
「What
Are We Really Looking at Through the Radio Telescopes? A Test of
Observational Bias on GMC Properties」
-
小林将人
17:30
- 17:45
「銀河スケールにおける巨大分子雲質量関数の時間発展モデル」
-
古屋玲
17:45
-
18:00
「JCMT搭載SCUBA2とPOL2による星形成領域におけるサブミリ波偏波の網羅的観測:BISTROプロジェクト」
・懇親会
18:15
-
コスモス会館
2日目 (3月10日)
座長:百瀬
・LiteBIRD
09:00 - 09:35 羽澄昌史
・南極望遠鏡
09:35
- 10:10 中井直正
・SKA
10:10 - 10:45 高橋慶太郎
-
本間希樹
10:45
- 11:00
「東アジアVLBIとSKA」
-
齋藤正雄
11:00
- 11:15
「2020年代の米国の電波天文将来計画」
-
河野孝太郎
11:15
- 11:25
「ngVLAによる銀河研究への展望」(ショートコメント)
-
三好真
11:25
- 11:40
「ブラックホール・ホライズンを解像するのに足りないもの」
-
川邊良平
11:40
- 11:55
「LST
(Large Submillimeter Telescope):概要と進捗」
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昼食休憩、ポスターセッション
11:55
- 13:20
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座長:大西
・東アジアセッション(英語)
-
松下聡樹
13:20
- 13:50
- Jongsoo Kim 13:50 - 14:20
- Hua-bai Li
14:20 – 14:50
「Observing
the Role of B-fields in Star Formation」
-
議論
14:50
- 15:20
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休憩、ポスター
15:20
- 15:45
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- 岩井一正
15:45
- 16:00
「NICTにおける新太陽電波望遠鏡の開発」
-
松尾宏
16:00
- 16:15
「スペーステラヘルツ干渉計の提案」
-
長谷川哲夫
16:15
- 16:30
「100年後のビジョン」
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座長:大西
・全体討論
16:30
- 17:15
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ポスター発表
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P01: 浦田裕次 「Submillimeter
follow-ups of Gamma-Ray Burst Afterglows using SMA, ALMA, JCMT, and
GLT」
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P02: 河野孝太郎 「Large
Submillimeter Telescope (LST): an overview of the LST white paper」
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P03: 岩田隆浩 「スペースからの低周波電波観測の検討」
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P04: 坂井伸行
「VLBI位置天文観測に準拠した、密度波理論の検証」
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P05: 上原顕太
「銀河系中心50km/s分子雲のフィラメント状構造」
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P06: 中川亜紀治
「VERAによる長周期変光星のVLBI位置天文観測−現状と展開」
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P07: 坪井昌人
「臼田後継局および64mアンテナの状況と天文学利用について」
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P08: 土居明広 「成層圏VLBI実験の実施計画」
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P09: 南谷哲宏 「Future
Development of the Nobeyama 45-m Telescope」
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P10: 福島登志夫
「ディスクダークマターによる渦巻銀河M33の回転曲線の解明」
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P11: 福島登志夫
「全波長観測データ(電波・赤外・可視・UV)に基づく重力場計算による渦巻銀河M74の構造解析」
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P12: 齋藤正雄
「WRC-15、WRC-19などの電波干渉課題まとめ」
2016年3月8日更新