宇宙電波懇談会シンポジウム2018「電波天文学の将来サイエンス」
2018年12月20日(木)
- 21日(金) 国立天文台三鷹すばる棟大セミナー室
研究会HP:http://www.udencon.sakura.ne.jp/symp/symp2018/symp2018.html
背景
宇宙電波懇談会は、日本の電波天文学コミュニティを代表する組織である。その活動の一環
として、電波天文学のサイエンス・観測技術の共有および将来計画の議論を図る目的で、毎年シンポジウムを開催している。直近二年度のシンポジウムでは、若
手・シニア研究者間の率直な意見交換および将来の電波天文学を支える技術開発に焦点を当て、それぞれ二日間に渡り多角的な議論を行ってきた。これらの成果
から、いま改めて絶えず進歩・拡大するサイエンスの現状を俯瞰することにより、将来における日本の電波天文学の方向生を再検討する必要があるとの認識を共
有するに至った。
本研究集会の趣旨
今年度のシンポジウムでは、サイエンスに立ち戻り、広範に渡る分野それぞれの最新成果を
共有することを第一の目的とする。それらに基づいて、日本の電波天文学が進むべき方向性と重点的に推進するべき将来計画について議論する。近年は幅広い分
野との共同で多くの優れた研究成果が出てきており、他波長・他分野との協力が一層重要になってきている。また我々を取り巻く環境としては、日本学術会議マ
スタープラン2020の作成があり、電波天文学領域については宇宙電波懇談会からの推薦が想定される。故に、ここで改めてサイエンスを俯瞰することによっ
て、今検討されている将来計画の意義について理解を深める事も目的とする。
プログラム
招待講演25分(講演20分+質疑5分)、寄与講演15分(講演12分+質疑3分)
特別セッションについて
先日、野辺山宇宙電波観測所長の立松氏より宇宙電波懇談会宛に数回の案内がありましたが、野辺山45m望遠鏡の共同利用の終了が、当初予定していた2022年 よりも前倒しになる可能性があるとのことでした。つきましては、主要ユーザーコミュニティの一つとして、何故、唐突にそのような前倒し計画がトップダウン にて進み始めたのかについて、常田国立天文台長をお招きし、経緯説明をして頂くことにしました。その特別セッションを初日の最後に予定しております。特別セッションは研究者および研究関連の方(技術者・事務の方など)であればどなたでも参加することができます。
行動規範
昨今、行動規範(code
of conduct)を研究集会において定め、参加者の権利を保護する取り組みが国際的になされております(たとえばIAUのCode
of Conduct)。本シンポジウムにおきましても、下記の行動規範を定めますので、これに従い、節度を持った議論をお願いします。
1.
私達の会議は参加者すべての間での科学的な発表、創造的
な議論、そして楽しい対話のための機会を提供することを目的としています。私たちはプロフェッショナルに振る舞うべきであり、他人に対して親切であるべき
です。他の参加者を侮辱することや貶めることは厳禁です。すべての意思疎通は様々な異なる背景をもつ若手と年長者両方の観衆いずれにも適切であるべきです。
2.
私達は参加者のハラスメント行為を一切許しません。ハラ
スメント行為には、講演やイベントを繰り返し中断させること、不適切な身体接触、性的な注目や風刺、意図的な威力行為、つきまとい、許可なく個人の写真撮
影や録音をする行為、そして性的位置付け、障碍の有無、外見、身体の大きさ、人種、宗教に関する攻撃的なコメントを含みます。
3.
参加者は、これらのハラスメント行為を止めるように求め
られた場合、すぐに従わなければなりません。世話人は行動規範を侵害した参加者に参加費を返還することなく会議からの退席を求めることができます。行動規
範の侵害を報告したい参加者は、会議世話人に通報していただくようお願いします。
12月20日(木)
09:50-10:00
坂井南美(理化学研究所)
開会挨拶・本シンポジウムの獲得目標
セッション1
宇宙の構造形成(座長:赤堀)
10:00-10:25(20+5)
長谷川賢二(名古屋大学)
2020年代の電波観測で期待される宇宙初期サイエンスの進展
10:25-10:40(12+3)
吉浦伸太郎(熊本大学)
MWA観測データを用いた21cm-CMB相互相関解析
10:40-11:05(20+5)
井上昭雄(大阪産業大学)
超遠方銀河電波観測の展望
11:05-11:30(20+5)
赤松弘規(SRON)
電波-X線多波長観測で挑む宇宙最大の粒子加速機構の謎シナジーと迫り来る黄金時代に向けて
セッション2 銀河進化(座長:田村)
11:30-11:45(12+3)
柘植紀節(名古屋大学)
大マゼラン雲における潮汐相互作用が誘発する大質量星形成
11:45-13:10 昼食・ポスター(85
分)
13:10-13:35(20+5)
竹内努
(名古屋大学)
原子-分子ガスから探る銀河進化史
13:35-14:00(20+5)
泉拓磨
(国立天文台)
多波長観測・理論との協働で進めるAGN/QSO研究
セッション3 星間物質(座長:高桑)
14:00-14:25(20+5)
山本智
(東京大学)
センチ波帯での星間物質研究
14:25-14:40(12+3)
林克洋(名古屋大学)
ガンマ線観測から探る近傍分子雲領域の星間物質と宇宙線の探査
14:40-15:00 休憩・ポスター(20
分)
15:00-15:25(20+5)
坂井南美(理化学研究所)
同位体比率で探る分子生成過程
15:25-15:40(12+3)
山根悠望子(名古屋大学)
大マゼラン雲のスーパーバブル 30 Dor
C: ALMAの見た付随分子雲
セッション4 星形成(座長:本間)
15:40-16:05(20+5) 中村文隆(国立天文台) 星形成の未解明問題
16:05-16:30(20+5)
元木業人(山口大学)
大質量星形成領域に対する最高分解能観測の現状とその先
16:30-16:45(12+3)
竹村英晃(総研大)
オリオンA分子雲の高密度コア探査
16:45-17:00 休憩(15
分)
特別セッション(座長:本間)
17:00-18:00
常田佐久(国立天文台)
経緯説明および質疑応答、議論
18:30-20:30
懇親会@コスモス会館
12月21日(金)
セッション5 コンパクト天体(座長:岡)
09:00-09:25(20+5) 本間希樹(国立天文台) 電波で探る銀河中心と中心核
09:25-09:50(20+5)
池田思朗(統計数理研究所)
次世代の干渉計イメージングへ向けて
09:50-10:05(12+3)
竹川俊也(国立天文台)
銀河系中心領域に潜む複数の中間質量ブラックホールの痕跡
10:05-10:30(20+5)
田中雅臣(東北大学)
重力波天体のマルチメッセンジャー観測
10:30-10:45(12+3)
高橋慶太郎(熊本大学)
機械学習によるパルサーサーチ
10:45-11:00 休憩(15
分)
セッション6 原始惑星系円盤、惑星形成(座長:高桑)
11:00-11:25(20+5)
百瀬宗武(茨城大学)
系外惑星・円盤研究の未来
11:25-11:50(20+5)
奥住聡
(東京工業大学)
惑星形成研究の最新の動向と将来
11:50-12:05(12+3)
飯野孝浩(東京農工大学)
ALMAアーカイブビッグデータを用いた,タイタン・海王星大気の分光・連続波観測
12:05-13:05
昼食・ポスター (60分)
セッション7 将来プロジェクトとマスタープラン(座長:高桑)
13:05-13:15(7+3)
臼田知史(国立天文台)
TMT計画の現状
13:15-14:05
電波各大型プロジェクトからの進捗報告(各プロ5-7分・スライド5枚まで)羽澄昌史(KEK)
LiteBIRD
井口聖(国立天文台
ALMA2
小林秀行(国立天文台)
SKA1
坂井南美(理化学研究所)
ngVLA
川邊良平(国立天文台)
LST計画の進捗
久野成夫(筑波大学)
南極テラヘルツ望遠鏡計画14:05-14:55
坂井南美(理化学研究所) パネル討論(推薦結果の説明・プロジェクトへの質問)(パネリスト:各計画代表者)
総合討論
14:55-15:00
高桑繁久(鹿児島大学) 閉会挨拶
P03: 陳家偉 (国立天文台) ミリ波サブミリ波多色カメラに用いるオンチップ広帯域フィルターの開発
P04: 亀谷収 (国立天文台) 水沢10m電波望遠鏡による低周波天文学
P05: 亀谷収 (国立天文台) 国内の電波天文周波数保護の現状
P06: 佐野栄俊 (名古屋大学) 星間物質の精査と多波長観測を軸とした超新星残骸の探究
P07: 榎谷玲依 (名古屋大学) 銀河系中心部の二重らせん星雲に付随する分子雲の詳細観測
P08: 秦和弘 (国立天文台水沢VLBI観測所) East Asian VLBI Network (EAVN)
P09: 竹越達哉 (東京大学) FTS Measurement System for Multi-chroic mm/submm Camera
P10: 宇野慎介 (東京大学) FPC製造技術を用いたミリ波サブミリ波帯周波数選択フィルターの開発
P11: 村瀬建 (鹿児島大学) 野辺山アンモニアサーベイ(KAGONMA)の現状 温度から解き明かす星形成領域の特性
P12: 吉岡佳輔 (国立天文台) THz-TDSを用いた高精度測定に基づくサブミリ波光学特性のデータベースの構築
P13: 立原研悟 (名古屋大学) Formation of Clumpy Clouds and Implications on the Interstellar Turbulence and the Dark Gas
P14: 小西諒太朗 (大阪府立大学) Investigating a spatial variation in 12C/13C isotopic ratio in the starburst galaxy NGC 253
P15: 杉内拓 (大阪府立大学) Chemical evolutions of GMCs while crossing the spiral arm in the nearby galaxy M 83
世話人
坂井南美(代表)、赤堀卓也、岡 朋治、高桑繁久(副代表)、田村陽一、本間希樹